グラフェンとは
グラフェンは、炭素(カーボン)の原子が、蜂の巣のような六角形に結びついたシート状のものです。グラファイト(鉛筆の芯などの黒鉛)もグラフェンシートが多数積み重なってできています。厚さは、1原子の厚みで、0.34ナノメートル(1ナノメートルは、10のマイナス9乗メートル)で、人の髪の毛の100万分の一の厚みです。ウィルスの大きさやDNAの太さになります。同じ炭素の原子からなるフラーレン、ナノチューブとともにナノカーボンと呼ばれています。物理的にもとても強く、ダイヤモンド以上に炭素同士の結合が強いため、平面内ではダイヤモンドより強い物質と考えられています。熱伝導も世界で最も良いとされ、電気の伝導度もトップクラスに良く、銅よりも電気伝導度が高い物質です。
ナノテクエナジーは、2002年5月に申請された世界初のグラフェン特許と考えられる特許を所有しています。
グラフェンの表面積の重要性
グラフェンは、1グラムあたり2,600㎡をわずかに超える理論限界表面積を持つ、カーボンの単層です。これは、テニスコート10面分に相当します。
この表面積2,600㎡は、両面の合計です。つまりカーボンの層がn層になると表面積は、2,600㎡/n。3層なら1/3に、10層なら表面積は1/10になります。 グラフェンの表面積は、どれだけの電子を蓄えることができるかを左右します。これは、電池およびスーパーキャパシタ(コンデンサ)に、どれだけのエネルギーを蓄えることができるかを決定します。
この大きな表面積を持たなければ、グラフェンはその最大の特徴の大部分を失い、グラファイト(黒鉛)のように働くようになります。
グラフェンの問題点
グラフェンが現在抱える大きな問題は、市場にあるグラフェンが「グラフェン」といっても、製造方法により品質が大きく異なることです。
具体的には、層数、純度、表面積、サイズ等です。製造企業によりこれが統一されておらず、様々の品質のものが「グラフェン」として販売されています。
ちなみに、ナノテクエナジー社が市場で入手可能な「グラフェン」を調べたところ、ほとんど全てが「グラフェン」ではなく、「薄層グラファイト」であることが実証されました。
単層グラフェンと、薄層グラファイト(マルチレイヤーグラフェン、グラファイトナノプレーテッドなど)の間には、多くの技術的な違いがあります。単層グラフェンは、薄層グラファイトでは不可能だった新しい機能を可能にします。
例えば、炭素材料は機械的強度や導電率を上げるために複合材料の充填剤として使われることが多いですが、単層グラフェンの必要量が1%以下なのに対して、薄層グラファイトの場合同様の結果を得るためには、約15%必要となります。
ですから、グラフェン使用時には複数の要素、側面サイズ、厚さ(層数)、純度、BET表面積を確認することをお勧めします。
グラフェンのユニークな特性
グラフェンには、ユニークな特性がありますが、最も大きな特性は、グラフェン一つで、これらの特性を全て持つことです。これは、複合材料を作るときにも大きなメリットとなります。
- 1. 人に知られている最も薄い材料(厚さ0.34nm)、人の髪の毛の100万分の一
- 2. 銅よりも電気を通す
- 3. ダイヤモンドよりも熱をよく伝える
- 4. 毎秒100万メートルの速さで電子を運ぶ
- 5. 鋼鉄より200倍強力
- 6. ガス不透過性
- 7. 97%透明
- 8. 柔軟で伸長製があり、最大で長さの20%まで伸びる
- 9. 高表面積
- 10. 非常に軽い材料(0.76 mg / ㎡)
- 11. 100倍高速の光スイッチ
グラフェンが可能にする新しい機能
グラフェンを新しいエネルギー貯蔵システムに利用すると、デバイスを自由な形状・重量・寿命・動作環境で作ることができるようになります。
- 1. 小型コンデンサ-
- 2. 柔軟、折りたたみ可能、ねじることができる電池
- 3. 引っ張り伸ばせる電池
- 4. ウェアラブル電子機器用電池
- 5. 透けて見える電池とコンデンサ
- 6. 急速充電バッテリー
- 7. 薄紙状の電子機器用の軽量バッテリー
- 8. 液漏れのない環境に優しい電池
- 9. 電池のエネルギー密度に匹敵するスーパーキャパシタ
- 10. 安全な電池のための選択透過膜
- 11. 長持ちするエネルギー貯蔵装置
- 12. バインダーおよび添加剤を含まない電極